体験的に学ぶ「快適な住まい方」
太陽の光や熱、空気や水、植物など、私たちの身近な自然を、身体を通して感じてみたり、計測器で計ったりしてみましょう。驚きと共に、それまで見えていなかった事象が捉えられるようになります。そして、それら、身近な自然が住生活にうまく活かせることを、家模型の実験で確かめてみましょう。また、自然を活かした住まいを自分で設計して、家の模型で表してみましょう。
家模型の実験と工作を取り入れると、わかりやすくて、身につく
住まいを取り巻く環境は、目に見えないので捉えにくいのですが、家模型の実験を通して数値で見ると違いが経験的に分かり、家模型の工作で家づくりを模擬体験すると、具体化するための知恵が身につきます。
建物の中や周辺の「涼しさ探検」「温かさ探検」や、熱を知る身近な体感実験と合わせて、家模型ワークショップをぜひ行ってみてください。
授業の流れと実験・工作〈夏の例〉
夏、自然を生かして涼しく住むには、どうしたらよいだろう
導入
涼しくするためにはどうする?
「暑いときに涼しくするためにどうするか?」との問いかけをし、普段の生活では、エアコン(冷房)や扇風機といった電気のエネルギーを使って涼を得ていることを確認します。
エアコン(冷房)や扇風機を使わないで、自然を生かして涼しくする方法を考えよう!
今日の学習では、電気やガスなどの化石燃料を使って作るエネルギーを使用しないで涼しく過ごす方法を考えることを確認します。
展開1
涼しいところはどんなところ?
「教室のまわりで涼しいところを探しにいきましょう」と呼びかけ、「日かげは太陽があたらないので、少し暗くて涼しい」こと、「風が通る場所では、風が身体に当たって涼しく感じる」ことを確認します。
反対に「太陽の当たる日なたはすごく明るくて暑い」、「風のない場所はムッとして暑い」ことを確認します。日なたと日かげの温度差はどのくらい?
放射温度計(物や液体の表面温度を測る温度計)を使って、日なたと日かげの温度を比較して、太陽を上手に遮れば、冷房を使わなくても涼しくできるのはないかと実感させます。
風が通る場所ってどんなところ?
窓の開いている場所を確認して、窓を2か所以上(風の入口と出口)開けることで風が通ることを確認します。
展開2
冷房を使わないで涼しくする方法を考えてみよう。
「どんな時に暑く感じるか」という問いかけから、「暑い時には汗がでる」ことを確認し、蒸発冷却の効果を実感させます。
身の回りに蒸発冷却で涼しくできるものはないかな?
人間は、汗の蒸発冷却効果で涼しくしているが、植物も同じように、光合成とともに蒸散作用を行うことで葉の表面温度を低く保っていることを伝え、涼しさを得るために植物を上手に利用してみよう、と問いかけます。
これまでの活動を通して発見した涼しさのポイントを、家にも当てはめてみましょう。
夏、自然を生かして涼しく住むためのポイント
- ①日を遮って日かげを作る
- ②窓を開けて風の出口と入口を作って風を通す
- ③蒸発冷却の涼しさを使う
そして実際に、家模型を使った実験で、涼しく住むポイントを確かめてみましょう。
家模型ワークショップ〈実験キット〉
- ①遮光…カーテンとすだれの実験
- ②風通しの実験
- ③蒸発冷却…濡れた日よけの実験
展開3
ほかにも、家の工夫にはどんなものがあるだろう。
- ①日かげを作る方法
・屋根やひさしを大きくする。
・簾やよしずなど、日よけをつける。
・木を植える。 - ②風の出口と入口を作る
・防犯対策や家の中が丸見えにならないような窓の開け方を考えて、窓を2か所以上あける。 - ③蒸発冷却を利用する
・緑のカーテン、屋上緑化、木を植える。
・打ち水をする。
ふりかえり
工夫すれば自然を生かして涼しく住むことができる!
次の時間に、家模型で「夏涼しい家」をつくるために、自分の家でやっている工夫や、やってみたい工夫について、家の人に聞いてくることを家庭学習とします。
それでは、自分の考える「夏涼しい家」を、家模型で工夫してつくってみましょう。
家模型ワークショップ〈工作キット〉
学んだことを生かして、工作キットの家に、工夫と集めた材料を加えて、自分の考える「夏涼しい家」をつくりましょう。
授業の流れと実験・工作〈冬の例〉
冬、自然を生かして暖かく住むには、どうしたらよいだろう
導入
暖かくするためにはどうする?
「寒いときに暖かくするためにどうするか?」との問いかけをし、普段の生活では、ストーブやエアコン(暖房)といった石油や電気などのエネルギーをつかって暖かくしていることを確認します。
ストーブやエアコン(暖房)を使わないで、自然を生かして暖かくする方法を考えよう!
今日の学習では、電気やガス、石油などの化石燃料を使って作るエネルギーを使用しないで暖かく過ごす方法を考えることを確認します。
展開1
暖かいところはどんなところ?
「教室のまわりで暖かいところを探しにいきましょう」と呼びかけ、「日なたは太陽があたっているので明るく暖かい」こと、反対に「太陽の当たらない日かげは暗くて寒い」ことを確認します。
日なたと日かげの温度差はどのくらい?
放射温度計(物や液体の表面温度を測る温度計)を使って、日なたと日かげの温度を比較して、太陽を上手に使えば暖房器を使わなくても暖かくできるのではないかと実感させます。
展開2
暖房器を使わないで暖かくする方法を考えてみよう。
「どんな時が寒く感じるか」という問いかけから、「風があたると寒い」ことを確認します。寒いときの服の着方を実演して、寒さを防ぐ方法を洋服の着方で確認します。
寒い時の服の着方の工夫
- ①フリースやセーターなどのふわふわした素材のものを着て保温する。
- ②風を通さないウインドブレーカーを着る。
- ③首にマフラーをしてすきま風を防ぐ。
洋服で工夫したように家も工夫できないかな?
これまでの活動を通して発見した暖かさのポイントを、家にも当てはめてみましょう。
冬、自然を生かして暖かく住むためのポイント
- ①太陽を利用する
- ②
- ③風やすきま風を防ぐ
そして実際に、家模型を使った実験で、暖かく住むポイントを確かめてみましょう。
家模型ワークショップ〈実験キット〉
- ①採光…大きな窓と小さな窓の実験
- ②断熱…断熱材が入っている家、入っていない家の実験
- ③すきま風の実験
展開3
ほかにも家の工夫にはどんなものがあるだろう。
- ①太陽を利用する方法
・窓を大きくする。
・窓の向きを太陽が一番長く当たる方角(南)にする。 - ②暖かさを逃がさないように保温する
・熱を伝えにくい材料を使う。
(例)昔の家では土壁や茅葺きの屋根を、今の家では断熱材というものを使う。 - ③風やすきま風を防ぐ
(例)昔の家では、北側に木を植えて寒い北風を防いでいた。(防風林、間垣など)
現代の家では風を通さないように、断熱材の外に風を通さないビニールや堅い壁材を張っている。
ふりかえり
工夫すれば自然を生かして暖かく住むことができる!
次の時間に、家模型で「冬暖かい家」をつくるために、自分の家でやっている工夫や、やってみたい工夫について、家の人に聞いてくることを家庭学習とします。
それでは、自分の考える「冬暖かい家」を、家模型で工夫してつくってみましょう。
家模型ワークショップ〈工作キット〉
学んだことを生かして、工作キットの家に、工夫と集めた材料を加えて、自分の考える「冬暖かい家」をつくりましょう。
家模型ワークショップの製品一覧
家模型ワークショップ〈実験キット〉
「夏涼しい住まい」「冬暖かい住まい」の工夫の効果を、実験で確かめることができます。
この実験キット1セットで、遮光・断熱・風通しの3つの基本実験と、いろいろな応用実験ができるので、自然を生かした「快適な住まい方」の重要ポイントをしっかり押さえることができます。
組み立ても実験も簡単で、短い時間でも、体験を通した記憶に残る授業が行えます。
詳しいご案内は、家模型ワークショップ〈実験キット〉でご覧ください。
詳しいご案内は、家模型ワークショップ〈実験キット〉でご覧ください。
家模型ワークショップ〈工作キット〉
家模型を通して、快適な住まいづくりが擬似体験できる工作キットです。
家の骨組み・壁・床・屋根と敷地材料が入っていて、「基本の家」ができます。
自然を生かした「快適な住まい方」で学んだことをもとに、
自分で集めた材料と工夫を加えて、「基本の家」を「夏涼しい家」「冬暖かい家」に作り上げます。
日本の木造家屋を模した造りで、簡単でも本格的なので、達成感があります。
詳しいご案内は、家模型ワークショップ〈工作キット〉でご覧ください。
詳しいご案内は、家模型ワークショップ〈工作キット〉でご覧ください。